2017年05月06日

オーリャ 21歳 クラスノヤルスク市

 『はだしのゲン』は私にとって中沢啓治の初めての作品です。このマンガには多分日本の最も苦しかった時代が明確に描かれていると思います。
 この作品を読み終えると広島と長崎に落とされた原始爆弾の恐ろしさがよりしっかりと意識されます。
 作者はおろかな考えや天皇や神に盲従することがいかに罪のない人々を苦しめるか、ということを示したかったのだと思います。 何よりも苦しんだのはゲンの家族に代表されるような平凡な、温和な人々です。これはただ肉体的な損傷というだけでなく、肉親を失った人々の心の中に生涯癒えることのない傷をも残しました。絵と言葉で作者は自分の子供のころの体験を伝えています。主人公と同様、作者は当時の限りない恐怖の中を生き抜きました。
 人々がいかに変わるかということにショックを受け、恐怖を感じます。彼らは野獣になります。
 爆弾は単に彼らの家を破壊したのみならず、やさしさや同情や思いやり、そしてあたたかい心を殺し、野獣の本能だけを残しました。しかしゲンと家族は優しい心を失いませんでした。
 それゆえ腕白少年が私たちの心をひきつけるのかも知れません。
 悲劇から多くの時が流れました。しかし中沢啓治さんのような人々は当時の限りない恐怖を次々と新しい世代に語ることでしょう。『はだしのゲン』はさらに多くの読者を得ることでしょう。
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